ダルメシアン・ブロンズ症候群



イギリスでDallyrash(厄介な吹き出物)、アメリカではDalmatian Bronzing Syndrome(ダルメシアン・ブロンズ症候群)として知られている、ダルメシアン特有の皮膚病がある。これは頭部の先端部、首の下、背中と脇腹周辺に沿って、小さくえんどう豆サイズの蕁麻疹の形で現れるものである。最初は痒み、毛の脱落が見られ、数日後に、これらの領域の毛が変色し始め、蕁麻疹は治まる。やがて患部が赤褐色に変わり、毛並みの反対側から見るとそれが良く分る。蕁麻疹はアレルギー反応の結果であり、常にコートに付着しているバクテリアを毛嚢に侵入する事を許してしまい、それらの領域で化膿や変色、および損傷を引き起こす。最も効果的な治療法は、簡単に言ってしまえば、抗生物質を投薬し、アレルゲンとなるものを取り除く事である。
ではどうしてダルメシアンにこの症状が出易いのか? まず、通常は思春期が近づくまで症状が見られない事、そして第二には、結石を防ぐ為に低プリン体の食餌制限をしている犬は、良い状態のコートを保っていることが多い事から、原因として 以下の要素が考えられる。

1. アレルギー。 これらの症状を示すダルメシアンの大部分がアレルギーである。アレルギー反応(アレルゲン)を引き起こすのは、胞子などによる空中アレルゲン、ノミの唾液などの 注入アレルゲン、草などの接触アレルゲン、いくつかの種類による食物による摂取アレルゲン。

2. ストレス。旅行や、興奮、日常の変化、そしてダイエットによる食事の変化など、生理学上のストレス。 ストレスはステロイド・ホルモンの増加に生物学的に関連している。 ステロイド・ホルモンの増加は皮膚に付着したバクテリアの増加を促す働きをする。

3. 湿度と熱。 獣医の皮膚科医は、湿度と温度における変化もまた、症状が現れ始じめる 重要な要素であると考える。これらの変化は次のような環境、もしくは皮膚状態に関連している可能性がある。

  • 家とショーサイトの天気の違い。
  • 皮膚の乾燥。
  • 特別なグルーミング製品による皮膚の毛穴の閉塞。


4. ダルメシアンに多く見られる高尿酸尿症、尿酸結石、および二次性の尿路感染症に罹っている場合。

オーナーの認識すべき点


この症状を示す犬を飼っているオーナーは、予備知識を持つ事と注意を払う事により、問題を軽減できるだろう。まず、以下の事を認識しておく必要がある 。
(1) 自分は多少アレルギーの犬を飼っている、と言う認識。
(2) 過度のシャンプーは、皮膚を守っている天然の油分を取り除く事になる。
(3) 旅行は環境の変化、なじみの無いノミなどのアレルゲンに接触する可能性を即す事になる。
(4) 日常における変化は生理学上のストレスと、ストレスによる免疫反応を引き起こす可能性が高い。
(5) 食事の変化は、食物アレルギーの成分を持っている犬に悪影響を与える可能性がある。

治療法として


ここ数年間、獣医の皮膚科医はアレルギーの犬に脂肪酸の補充を定めている。 脂肪酸は、免疫調節薬、抗炎症薬としての効果があり、皮膚の保全を維持するのを助けるバリアとして特に重要である。他の有益な副作用としては最適な髪の成長と光沢を含んでいる。これらの補足は野菜と魚油の組み合わせを含むべきである。
脂肪酸に関しては最近、抗ヒスタミン剤との相乗効果によって、アレルゲンへの初期の反応を妨げるという報告がある。 いくつかの研究では、脂肪酸の補足と抗ヒスタミン剤の投薬を両方を受ける犬の方が、痒みの度合いも少なく、皮膚の二次感染症も少ないという報告がある。さらに、継続的に抗ヒスタミン剤を受けている犬の方が、痒みにより引っ掻く時だけに使用された場合よりも、うまく対応していると言う。
尿路結石の治療を行い、食餌は高たんぱく質を避ける為に肉を与えず、低プリン体の米と野菜のものに切り替える。肉類の不足による各種ビタミンと、微量のミネラルの必要量を添加する。1日1,5リットル以上の水分と、排尿を促す為の十分な運動が必要である。野菜を主とした食餌療法を数週間行う事により、毛質の向上と共に毛の生え代わりが期待できる。残念ながら治療には時間が掛かるので、ショウ・ドッグに大きな影響が出るのは避けられない。

具体的な予防策としては、

  • ノミの予防。 ノミの唾液は非常に激しいアレルギーを引き起こす場合がある。
  • 抗菌シャンプー(Hypoallergenic)を使用する。皮膚の油脂を守るために、頻繁にシャンプーをしない。
  • アレルギー反応を引き起こす餌を避ける。


防止策として


獣医の皮膚科医は犬ノミと吸入アレルギーが遺伝的であると確信している。確かに最も良い予防策は繁殖に使用しない事である。 毛質の良い固体しか繁殖に使用しない事により、コートの問題の少ないラインを確立する事に成功した良心的なブリーダーもいる。
他方では、親譲りの食物アレルギーの問題がある。ダルメシアンのブリーダーには慎重な繁殖計画が求められると言えよう。

BDCの会報に関連する記事があったので紹介します。筆者はイギリスの有名なブリーダー、Ms. Phil Parker.



ダルメシアンの健康状態の問題としてしばしば取り上げられるのが、“Rally Rash” と呼ばれるものである。
まず最初の質問は:あなたのダルはどんな食餌を取っているか?
第二の質問は:食餌の時間帯は?
多くの人が最初の食餌を朝一番にあげているようだ、自分たちの朝食の後に。そして最後の夕食は、大体自分たちの夕食の前に。
朝早い時間に食餌を上げることが問題の要因である。ダルには自分の食餌を与える前に、体の中の毒素や胆汁を分解するために、草の生えている自然の中でひと時を過ごさせてやらなくてはならない。
ダルは午後の休息の後、野原に散歩に行き自然に生えている色んな草を食べなくてはいけないという事を自分の体で知っており、少なくともその2時間くらい後までは、用意した食餌を取るべきではない。
第二の食餌はいつも習慣としているように、夕方と夜の間に取ることが出来る。またプロテインを多く与えないようにしなくてはいけない、これも皮膚の問題の別な原因であり、したがって毛質においても同様である。
また、ダルにはあまりシャンプーをしないこと。柔らかな雨の中を散歩して、粗いタオルで良く乾かす、これが一番良いだろう。
体の中に問題の原因があるので、体の中の問題と戦わなくてはならない。
軟膏、液状の薬、香料などなど、皮膚の上に塗っても、よほどの幸運でもなければ、カモフラージュしているだけで、毛質の問題は直らない。
植物性の食餌と少しのオリーブオイルが問題解決の助けになるだろう。

参考文献


Skin and Coat Disorders in Dalmatians by Susanne A. Hughes, DVM
Study Group on Skin & Allergic Disorders
Dalmatian Club of America

Allergies by Carroll H Weiss
British Dalmatian Club